VRIO分析
VRIO分析を使うと何ができるか。
まず、対象は他社でも市場でもなく自社です。
V:Value(経済価値)
R:Rarity(希少性)
I:Inimitability(模倣困難性)
O:Organization(組織)
これらをおさえた経営資源が企業の強みである、ということです。
リソース ベースト ビュー。市場の状態に関わらず、競争優位性を保つのは経営資源であるという考え方ですね。
さて、このVRIO分析ですが、個人にも当てはめることができるとは思いませんか?
例えば、プレゼンテーションが上手い人。説明が分かりやすいですし、誰しもができることではありません。努力してそうなろうとしても場数を踏む必要があり、回数を重ねるごとに改善していかなければなりません。
ここまでVRIまでは満たしていると思います。しかし、勤務しているのが工場で、黙々と作業をこなす仕事だったとしたら・・・それは強みを活かせているとは言えませんよね。
他にも、対象を真面目ということに設定してみましょう。まず、どう真面目なのかが分かりません。言われたことをする、という意味ではほとんどの人が当てはまるため、強みにはならないでしょう。逆に、毎日のルーティーンを持っており、5年間欠かしたことがないといった場合。この継続性はなかなか真似できるものではなく、強みと言っても良いのではないでしょうか。
私にも尊敬する歯医者さんがいます。
彼は卓越した技術で失われた歯の形を再現します。これは患者さんからの需要もありますし、素人目に見ても凄い、と感じると思います。その際、金属やセラミックを使わずに、コンポジットレジンという素材を使用します。
そこまでの技術を持った人はなかなかいません。素材はありふれていて日々の診療で使用するものですが、それを最大限活用しています。また、誰しもがその境地に立てるわけではないでしょう。
そして、その治療に対して保証期間を定めています。記憶が正しければ10年保証だったような気がします。最小限の削る量で患者さんのニーズにも応えて、使用素材は高価なものではない。診療室やメインテナンスなど、治療全体としてもシステムが整備されています。
この例は強みを持っていると言えるでしょう。実際に、全国の様々なところで講義をしたり、病院で技術を教えるセミナーを開催したりしていますが、いつでも満員御礼です。
自身では当たり前と思っていることが、実は他の人がなかなか真似できないようなことだったり。逆に、自身では長所だと思っていることが、意外と他の人でも同じことがいえたり。
自分で思い浮かべる自分の像って、案外ぼんやりしたものであることも多いのではないでしょうか。
一度、じっくりと考えてみたり、場合によっては書き出してみて自分を分析してみてはいかがでしょうか。
企業の話よりも個人の話が多くなりましたが、参考にしていただけると幸いです。