親知らずの抜歯
親知らずを抜歯した方がいいのか、という話は以前にしました。
では、親知らずの抜歯は実際のところどんなものなのかについても少し紹介していきます。
親知らずは前から数えて8番目の歯です。
ない人もいますし、あるけれども骨の中もしくは歯茎の中に埋まっていて見えない人もいます。
そして、親知らずの抜歯は上か下かで大きく難易度が異なります。
まず、上の親知らずについて。
基本的には難しくはありません。次の日から痛くない人も多く、痛み止めを必要としない人もしばしば見かけます。
ただし、歯がほとんど見えていない場合は歯茎を切る必要があったり、口を大きく開くとほっぺたの粘膜が押し寄せてくるため器具が入りにくい・見えにくいといったことはあります。
また、抜歯全般に言えることですが、歯の根っこが局所的に大きくなっていたり曲がっていたりして物理的に取り出しにくいことがあります。
歯とくっついて骨が一緒に抜ける場合もありますが、気にしなくて構いません。バキッと嫌な音がする割には痛みがないはずです。
上の親知らずの場合は根っこが上顎洞という顎骨の空洞部分と接している場合があります。
その場合は小さな穴が開いた状態になり、呼吸が鼻に抜けるような感覚が生じます。
余程大きな穴でない限りは自然に塞がりますし、痛みが続くこともありません。
念のため抗生剤を処方する場合もあります。
抜歯をした先生の考え方にもよりますが、歯茎を切っていない場合は縫うこともあまりないかと思われます。
次に、下の親知らずについて。
親知らずの抜歯は腫れる、といった話を聞いたことがある方も多いと思います。
腫れる場合の殆どが下の親知らずです。
日本人は顎が小さい割に歯が大きいため、親知らずが真っ直ぐ生えてこないことも少なくありません。
横や斜めに生えた親知らずがあると、歯磨きでの磨き残しが出てきます。そこに細菌が溜まり、虫歯や炎症を起こします。
炎症が起きているところは麻酔が効きにくいため、痛いというイメージが生まれます。
また、親知らずが横に生えていると、歯の頭の部分を削り落としたり、歯茎を切ったり、骨を削ったりと、物理的に抜けるような環境を整える必要があります。これらも痛いというイメージに直結するでしょう。
そして、下顎の骨の中を神経が通っているのですが、親知らずとくっついているとどうしても一回では抜けない場合があります。
その場合は、親知らずの頭の部分だけ切り落とし、神経をとります。しばらく経って、根っこが動いて出てくるようであれば再び抜歯に挑みます。動きが見られない場合はそのまま骨の中に眠らせておいて問題ありません。
X線写真、場合によってはCTで神経と親知らずの位置関係を把握しておく方が良いでしょう。このように、下の方が体にかかる負担も大きく、痛みが出る可能性も必然的に増えてきます。
上の親知らずよりも下の親知らずの方が難しいことが多いですが、結局のところ人によりけりです。
歯の並び方や、どの程度口が開くか、麻酔が効きやすいか、など条件は多くあります。
困ったときは、担当の歯科医師にしっかりと説明を求めてみましょう。